ルーチンこそが人生です - 時間の使い方が空間に与える影響について
ADHDと言えばその特徴として「片づけられない」がいちばんに挙げられます。片づけ本は世に五万とあり、それぞれが「リバウンドなし」と謳っていますが、ADHDにとってはこの「リバウンドなし」はなかなかに難しいことです。私もまだまだなのですが、ルーチンをある程度こなせるようになって、かなり良くなってきました。今はいつ誰が来ても家に上げられるレベルをキープしています。片づけ本はだいたい空間に着眼していますが、実はADHDが片づけられないのは、時間の使い方に問題がある、つまりルーチンがこなせないことに原因があるのでは、と考えるようになりました。
たしかにリバウンドしにくい片づけ方というのはあるのでしょう。私もいずれは、と思ってこんまり流の片づけをステップに分けてタスクに登録しています(期日はまだナシ)。しかしいくら空間をきれいに片づけてあっても、例えば皿を洗うとか、ゴミを出すとか、洗濯物を干すとか、郵便物をチェックするとか、そういうルーチンをきちんとこなせなければ、アッという間にグチャグチャになってしまいます。まずはルーチンをこなせるようになったのは自分としてはたいへんな進歩です。
Toodledoにルーチンを登録してそれをこなすのは、楽譜を書くことと演奏することを分けるのに似ています。やり始めの頃は、スマホの画面とにらめっこでないとできなかったし、途中にもいろいろと気が散りましたが、最近は、滑り出しのところは暗譜に近い状態でスラスラとできるようになりました。私の一日は、まずお茶を沸かし、その間に食器カゴの中の食器を拭いて棚にしまい、ハーブに水をやることから始まります。やっていくうちに、どういう動き方が効率的か分かってきます。改善できそうな点があれば楽譜、つまりToodledoに登録したタスクを書き直していきます。
毎日毎日、必ず同じことをするのであれば、ホワイトボードや紙に書き出した方があるいはラクかもしれません。特にPCだけしかない場合には、Toodledoに登録したルーチンを見るためだけにPCを立ち上げるのは面倒くさいかもしれません。でもスマホやタブレットがある場合なら、曜日ごとに違うルーチンを順番どおりに出してくれるToodledoはとても便利です。私の場合はiPhoneのロックを解く、という動作で気が散ってしまうので冷蔵庫の横に吸盤でくっつけて、自動ロックはしない設定で使っています。ADHDがスマホを持てば、1日に3回はスマホを探すハメになるわけですが、冷蔵庫の横にくっつけて充電も必ずそこですることにしたところ、スマホ探しは2日に1回くらいに減りました。スマホやタブレットがないなら、たぶん私なら、曜日ごとのタスクリストを書いた紙を用意します。今日はやらなくていいタスクが混在していることが、やはり気が散る原因になるからです。
ルーチンについては今日書き上げるつもりだったのですが、もうそろそろ夜のルーチンをやらないといけない時間なので、続きは明日に書くことにします。
明日の内容
- 繰り返しタスクの登録
- アラームは使わない
- 今日やるルーチンを順番通りに表示する
- チェックをつけるたびに達成感を味わおう
- プレマックの原理
- 忘れ物も減った
まえがき
ADHDは基本的にタスク管理が苦手です。Toodledo活用術自体は日本語でもたくさんWEB上にありますが、例外なくADHDにはハードルが高いです。ものすごくできる人がものすごく細かくタスクを管理してバリバリ仕事をこなしている感じ、つまりエグゼクティブな匂いがするからです。
エグゼクティブと言えば大学を卒業して初めて私がやった仕事は、とある団体の役員秘書でした。秘書になるつもりなんかもちろんなくて入った団体で、たまたま秘書室に配属されたのです。適性テストがあればそんなところには絶対配属されなかったでしょう。その頃はまだ私は自分のことをADHDと自覚してませんでしたが、完全なる人事ミスです。思い出すのもウンザリな失敗をいっぱいやりました。
毎日トイレで泣いていた秘書室時代のことを何故書いたかというと、Toodledoをうまく使えば秘書をつけてるみたいですってことが言いたかったからです。類友というのでしょうか、私の周りにはADHDの人がたくさんいますが、彼ら彼女らが口を揃えて言うのは「秘書がいれば」という願望です。実際、タスク管理さえしてもらえれば、けっこうな能力を発揮できる人が多いように見えます。しかし秘書を雇うのはなかなかお金がかかるのでとりあえずToodledoに登録してみましょう。Toodeldoを使ってみて初めて、私はあの、苦手な仕事ばかりのウンザリな2年間に、なにがしかの意味を見いだしました。たしかに秘書的な仕事が、私は苦手だった。しかし、他人のタスクを管理することは、自分のタスクを管理するほどには大変ではなかった。つまり、タスクを管理する自分と、タスクをこなす自分を分けて考えることができれば、ADHDにとってもタスクの自己管理はできないことではないのです。Toodledoが秘書になってくれます。
紙の手帳を使ってもタスク管理はできますが、ADHDはだいたい最初のうちは計画どおりにタスクをこなせないので気軽にタスクの期日を書き換えていけない紙の手帳ではすぐに嫌になります。自己評価もどんどん下がります。しかしToodledoなら先延ばししても全て投げ出したくはならないです。思いついたことをどんどん書き留めておいて、しかも今やるべきことだけを見えるようにすることができます。特に視覚優位のADHDの場合、今やるべきことが目に見えていることは大事です。そして、今やろうとしても無理なことや後回しにすべきことが目に見えていないことがそれ以上に大事です。
と、ここまで書いて、気が散りました。いろいろ書きたいことはありますが、とりあえずめんどくさくなりました。今日は仕事もけっこうあるのです。なので、いろいろはおいおい書くことにして、今考えてるところの目次を書いておきます。たぶんあとで書き換えます。
今後の目次
- ADHDにToodledoがオススメな理由
- タスクの登録、フォルダ分け、順序付けとソート、項目の表示/非表示
- ルーチンこそが人生です - 時間の使い方が空間に与える影響について
- 繰り返しタスク
- Toodledoの締切日時の4つのタイプと2つの繰り返し方について
- 七割できればそれでいい。
- 時間の見積もりのしかた(LengthとTimer)。
- TimeTimerのこと。
- iCal、Pocket Informantとの連携(イベントとタスクをどう考えるか)。
- やるべきことを可視化する。やれないことは不可視化する(検索と検索条件の保存)。
- サブタスクは必要か? 有料アカウントでできること。
- 仕事とToodledo。「始末」とは何か。
必要なものはPCあるいはタブレットあるいはスマホです。初めて使ってみる人は、まずはToodledoの無料アカウントで十分です。